一九四〇・一・一四。栄さんのおくりものの手袋をお送りいたします。このエハガキもおくりものです、徳さんの。いろいろのがあります、涼しそうなのは夏に、ね。あしたは朝玉子をあげにゆきます。それから夕方は、小樽のおばあさんとてっちゃんのところ。でも、急に天気が変ったからどうなりますか、雪でもふればおやめでしょうが。私は雪見に出かけますが。雪は何となし家にじっとしていられない心持です。つるさんの本お買えになりましたか? 今仕事の下拵のためにこまかく読んで居ります。
一月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
一月十九日 第六信
きのうは妙な一日でした。何だかそちらが一日じゅう気がかりで、電車にのったりしていて人にもまれながら何か急に気になって。どこか工合がおわるいのではないかしら、そんな風に思いました。けさ、十三日づけのお手紙いただいて、すこし安心したけれども。しかし何しろ十三日ですものね。やっぱりどうしていらっしゃるだろうと思われます。本当にいかが? どんな顔つきしていらっしゃいますか? 熱の工合などは? このお手紙にはそういうことがちっともかかれて居りませんね。即ち、
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