んの旦那さん、重役になって、そういう生活から又この頃ヤーエンコでさぞうだっていることでしょうね。赤ちゃんを生もうとしている花子さん、眉毛つり上げているでしょう。
 金星堂、紙が手に入らないでまだ印刷にかかれないのですって。文芸のものはそうですって。科学のものは先にゆく由。文芸が急を要さないもの、贅沢品の一部と思われるうちは文化も稚い足どりというわけでしょう。
 十九日にかいて下すったお手紙、何だか楽しみです、きょう笑っていらした様子から。
 これから森長さんのところへ行って来ます。ついでにこれを出すために、一区切り。表は別に。
 呉々も暑さをお大切に。横になっているのが苦しい夏は休養もむずかしくてね、夏は本当に心がかりなときです。

 七月二十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 七月二十四日  第四十七信
 きのう二十二日朝のお手紙――夏寒物語の分――がついたら、けさは十九日の分がつきました。面白いのね、この頃は。よく、あとの雁が先になります。ついた順に二十二日づけの分から。
 やっぱり、あのチェックは夏寒なのかしら。それは一応紳士道から云えば、チェックつけるということ
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