念のために一言。
隆二さんから稲ちゃんのこと心配した手紙が来ました。この頃どんなに仕事しているかと。わきから励してやれと。なかなかむずかしいことであるし、むずかしいものね。友人が「この頃はこういうものをかくようになったこと感慨無量です」と云ってよこした由。「素足の娘」のことでしょう。これについてはいろいろ考えますけれど、隆二さんのいうようなわけにもゆきません。作家の生涯の道は全くこわいジグザグね。その間に或る方向の一貫性をもって、いくらかでも目ざす方へ動いていればよし、としなければならないようなところもあり。「心の河」なんかよみかえし沁々とそう思います。
そして、この一貫性は、きょうのお手紙に云われているとおり、作家としての内的な必然性に忠実であるより外にはないのだから、大したものです。
これで、図書館一寸やめ。写す人をさがしてそれにたのみ、自分は当分家で書きます。そしてね、あなたはもしかしたら、いつでも午後二時すぎにしかこの丸いものを御覧になれなくなるかもしれません。うちは午後大したあつさなの、二階が。午後は全く頭がゆだります。ですから午前に一日分の仕事したいのです。そして、ひ
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