話はきまったばかりで、まだこまかい話はきいていず。しかし確定はして居ります。うれしいから一生懸命かくつもりです。それにかかる前に『文芸』のつづきのもの、もう四五回分書いてしまおうと思います。そして長いものをかきはじめたら、余り他に気を散らさず書きます。私はどこへも行けないから、うちの条件をよくして。『文芸』の方のは『改造』から出るでしょう。ついでに「伸子」文庫にしないかきいて見るつもりです、性質から云えばそうしていい本ですから。
 あれやこれやで、多賀ちゃんは、野原へ、となりの桶屋さんの娘でこの三月青年学校を出る娘をこちらによこさないか、手紙をかいてくれました。きっと多賀ちゃんがいれば来るでしょう。どうも見込みがありそうです。そうすれば大助りね。私はやはり、何でもたのんでして貰える人がいないと困ります。多賀ちゃんがいれば、一人ぼっちの感じはないからその位若い娘(十六七?)でも大丈夫ですから。三月から多賀ちゃんの仕事も始りますから。もし実現したらいいこと。その娘は三年ぐらいはずっといるつもりですって。多賀ちゃんだって今年一杯はいそうです。洋裁が三月から十月まで。それから一ヵ月ぐらい帽子の
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