らしい字をかきます、お父さんはワイオミング州にいるのですって。でもやっぱり何を商売にしているのかは不明です。お式のとき私がお母さんに挨拶して「あちらは、何をおやりです。木材か何かですか」ときいたらお母さん「さア何と申しましょう」と云うきりなの。これもなかなか面白いでしょう? この辺ではアメリカへ行っていると云えば金を儲けるために行っている、でもう何もきかないで、安心しているのですって。だから私もきかないことにしました。何をしていたっていいのに、どうしておかみさんも云わず仲人も知らずで、それですんでいるか実に愉快です。姉と妹と弟で、弟は中学を出てやはり父の方へ行った由。
 昨夜は大笑いよ、皆二人ずつでくつろいでいると、お母さん、岩本の小母上(これは島田の家)、私と多賀ちゃん(これは野原組)、あちらの若夫婦。やっとめいめい吻っとしているのでしょう。私はきょうはやっといつもの皮膚になりました。お式のときの着物、真新しいのが帯の下すっかりちぢんでしまった。何しろ大したお辞儀の数ですから。これでもまだ簡略の由です。あたり前だと次の日即ち七日にひるは女客、夜は男客で、ごったかえすのだそうですから。
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