したら、私がおなじみになるように「一度そんな話があったのだけれど未定ということにした」というので「そんなこと全く意味ないから是非やりましょう」と電話かけて、宿屋の交渉してやって、湯野という温泉へお里がえりからまっすぐ出かけることになりました。
七日にはお嫁さんは丸髷にゆって、又お式のときの衣類をすっかりつけて、お母さんもその通りで、組合[自注2]の家々を挨拶してまわりました。
八日に十時から、こんどはあたり前の髪と訪問着とでお里へ夫婦、母上とで出かけ、十二時何分かで戸田《へた》まで立った由です。
まあどんなに吻《ほ》っとしたでしょう、ねえ。六日の夜お式からかえって来て、達ちゃんが二階へゆくのに、はずみがなくてバツがわるいだろうと思って、「さあ、これをもって行っておやり」と私たちのおくりものの真珠の指環をもたせてあげてやりました。丁度薬指にはまりましたって、太い方のを買って、どうかしらと心配していたのによかったと思います、中指に入らず薬指だというのも可愛い。そんなにむっちりした娘さんなの。大体大変可愛いひとです、達ちゃんより頭脳は緻密です。何しろ女学校の優等生ですから。いかにもそれ
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