で。実に腰のきまった、ね。私はまだ本気になると堅くなるところがあって、そして、この四通八達はリアリズムの極致なのだから面白い。主観的なおさまりでないところが興味があります、そして無私であって。
又「北極飛行」になりますが、あれをよんで、人間を育てるものは何かと考え、何か激しく求めて喘ぐような感情を経験しました。あの筆者は、自分がどんな新しいものとして生きているか、きっと私たちがその姿を見て呻《うめ》くように感じる程分ってはいないでしょう。人間の成長はそういう風だからおそろしいと思います。ああいうものをよむと、私は七度でも生れかわりたいと感じました。あすこへ文化が育つまで、世代から世代と生れかわって辿りついて、その光の中に出て見たい、そういう気が切実でした。これまで一度の生涯というものへの愛惜は随分つよく感じて生きて来ているけれど、七度もと思ったのは初めて。益※[#二の字点、1−2−22]業がつよくなったのよ、ばけるようになったのね。そちらはいかが?
私はこれまで自分はお化けになれないと思っていたけれどもこの分ではやや有望です。
ふと思いついてひとり笑えます。だって、私は義務読書の
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