ともかく插画だけものにしてしまったのではないかしら。それにしろありがたいわけです。おっしゃるとおり明日夜まで三十枚は神業で、しかも到って人間並のが敢て試みようというのですから、つなわたりのようなわけでした。今月はすこしずつ仕事おくれました、胸がドキつくから。そんなこんなで。あなたまでいそがしがらせて御免なさい。でもたまにはいいでしょう、〆切なんて。あなたのお身にもついているものですから。
きょうはすこしはれぼったそうでした、どうかよくお休み下さい。疲れて眠れないという晩に、あなたがあがったチョコレートのことなど思い出します。覚えていらっしゃること? 白い紙につつんで、ボンボンの粒々。そういう夜には、きまって私は居ないのね。
きょうは、丁度中途半端な時間にそちらに行ったのですが、うちにいて、誰かに押しよせられたら目も当てられないので、とにかく出かけ、そちらで手帖出していろいろとこねて居りました。順助さんという若い男が現れます、その従妹の桃子という娘が居て、これはつとめています。二人は互に大変よく気持も分りあって好きなのだけれど、結婚はしない、恋愛には入らないということも分りあっている
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