かためる典型として石川があらわれていること等を。
 私は作家として、やはり作家の責任というものを感じ、その面との相関的なものとしてでなくては云えません。只の社会現象としてだけ切りはなして大宅氏が、半インテリ論をするようには云えない。そして、それはごく当然のことです。
 さて、『婦人朝日』の三十枚の小説はどんなのをかきましょう。それ迄にこまごましたもの三つ四つまとめておいてね。オランダの女王は六十歳のおばあさんです。そのひとにとって自分の国の堤を切る心持はどのようでしょう。レムブラントの絵はどんなにしまわれるでしょう、ヴァン・ゴッホの絵は。おばあさんの女王は、どんな顔つきで執務して居られることでしょうね。大した働きてだそうです。その姿がフランドル派の絵のようですね。室内の絵の質も歴史とともに様々ね。

 五月二十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 五月二十日  第三十四信?
 さっきかえって、マアともかく一休みと横になっていたら電報。やっぱり小説の〆切は二十三日でよろしいとのことです。フーッと大息をついて、やっと眼つきが平常になりました。どうも新聞やさん少々かけひきをして
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