めいたものをよみ直しましたが、これは今日の目で見るとどこか下手です。本質に間違いはないが、整理が下手にされているし、その整理の下手さは何かしら、客観性の不足が私としては感じられ、あの節出なくて惜しくもないという気がしました。
 この位長いものとして初めて書いて企画がはっきりしなかったのね、きっと。『文芸』の仕事は、そういう点では随分ためになっているとびっくりします。マアこんなお習字があったから『文芸』の方のも行けたのかもしれないけれども。今月のうちに、五十―一〇〇かくのですが、不可能でもなさそうです。こんどは一つよく整理して、一目瞭然しかも文学の正しい詩に貫かれたものをかきましょう。章をよく分けて。
 今どんなにしていらっしゃるのだろう。ふところ手して、何かよんでいらっしゃるかしら。それとも横になっていらっしゃるかしら。多賀ちゃんとの二人ぐらしで、私のくらしもいろいろ微妙にディテールが変化いたします。なるたけ外出のときは一緒にゆきますしね。それから第一のちがうことは、一日のうちに何かにつけて、顕兄さん、顕治さんということが出てね。ごく自然に。わたしはすこしふざけて、自分だけの心持をこめ
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