でも来やしない。
二十日からきょうまでに「行人について」(『新潮』)8枚、『婦人画報』のかく月の巻頭二十枚、学生の新聞のために石川の「結婚の生態」評七枚。それからこの「歴史文学について」二十九枚、十日に六十九枚はわるくないでしょう。どれも皆勉強のいるものでしたから大変でした。
歴史文学は本当に面白かった、鴎外、芥川、菊池の主な歴史を素材とした作品をよみました。露伴もよんだがかきませんでした。露伴は、歴史が常に権力に屈したものであるということを力説している、そして頼朝、為朝、蒲生氏郷など、なかなか面白うございますが、つまりは露伴流の人物論ですね。そして露伴の面白さも弱みも、彼が江戸っ子流の侠気と物わかりよさとをつよくもっているというところですね。彼が小説家としてねばりとおさなかった所以を過去の人たちは、彼がえらすぎるという風にいうが、そうではないわ。達観を主観的にしているからです。決して支那流の哲人でもないし、強烈な精神の独自性というのでもない。名人肌の一くせある爺さん(勿論内容豊富也)というところですね。ですから人物論としてのそれらの作品は、なかなか面白くて所謂膝を打って大笑す、と
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