多賀ちゃんに寂しい正月させては可哀そうと思い、林町で歌留多とったりして例年にない正月でした、又独特の正月であったわけです。多賀ちゃんはこまかく人の心もちも分り、いろいろいい子だけれど、妙に文学的というところはなくてさっぱりしていて、いい子です。うちのことして貰って私、机にばかり向っていて、何だかすこし気の毒のようです。でも、まあ当分小さい子の見つかる迄これでやりましょう、三月になって多賀ちゃんの稽古がいそがしくなれば、又考え直してもよいことですし。
達ちゃん隆ちゃんにはもう着いたかしら。どうかしら。三越で、あなたの仰云っている通のこと私もよんでいるのできいたら、箇人関係では倍ですって! これで十分と云ってはいけないからなんでしょうと云っていました。箇人関係は倍というのは耳にのこって居ります、カンづめ等随分ね上り品不足。
倉知の紀《タダシ》がかえりました。あの男は三年ぶりです。暮の二十日すぎに金沢からクルミの砂糖菓子を一箱送って来たのですって。林町では何だろうと云っていて、じゃきっとかえっているとさがさしてやっとわかったのですって。今はもう通信も出来るのでしょう。新聞にはかかれて居り
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