園は柳沢吉保が造ったのだそうです。岩崎がもっていたのを開放したものの由です。ところどころにある茶室に座って見とうございました。入場料五銭。札を売るところの男は、「このエハガキを下さい二組」と云ったら「オーケイ」とメリケンのアクセントで申しました。びっくりしました。林町へ二人でとまって、けさ、そちらへ行って玉子の御挨拶いたしました。多賀ちゃんのもどうぞ。余り人出で事故頻出。人間の数に合わせてのりもの不足の故でしょう。
一月五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
一月五日 第三信
きょうはおだやかないいお天気。そして、二十八日のお手紙が到着。二十七日おかきになったてっちゃん宛のにやきもちをやいていたら、私へはやはり別にあったわけでした。ありがとう。独特の暮になりました、本当に。でもいいわ、スロウ・アンド・ステディについては、わがことなのですから。熱がどうか平坦になるように。かぜを引いていらっしゃるというのではないのでしょう? どういうわけかしら。呉々もお大切に。多賀ちゃんの手術について、又家の人員の移動について、もうこまかくおわかりの時分でしょう。今又二人なのよ。今年は
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