ていたって。こんなこと、微妙で、しかも深い問題です、女の生きる上に。だから、又何ヵ月か経つといろいろの話が出るでしょう。
 林町のあか子はまだまっしろけ。隆二さんが初雛を祝って、左の歌を下さいました。
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はしきやしマダム・キュリーの絵姿もともにかかげよ桃の節句に。
菱餅と五人囃とその蔭に一葉日記もおくべかりけり。(私はうれしかったから虹色の色紙にかいてあか子にやります)
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 三月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 三月十二日  第十九信
 きょうこそは、よくよく面白い手紙をかかなくてはいけませんね。こんなに御無沙汰したのは珍しいことです、本当に御免下さい。
 四日づけのお手紙を六日に頂きました。六日に『日本評論』の小説をかき終るところだったので、そのまま返事かかず。七日におめにかかりに行き。八日九日おめにかかり、十、十一日で二十七枚ほどの小説『改造』へかき終り。きのう夕方の六時にフーッと大きい大きい息をつきました。「三月の第三」というの、あれは「第四」に当るのでした、そしてやっぱり「三月の第四日曜」といたしました。二つめ
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