々の作ですし、書物展望版の方は小さくてもち運びも便利です。一応目をお通しになってと思ってきょう送りました。改造版の方もお送りして見ましょうか。私は昨夜ふと、もしかしたら、お母さんのお心ゆかせにいいかしらとも思いました。けれども、いずれにせよ顛倒した世界でうたわれているのが多いことは、やはり学生の手紙と同じ哀れをそそります。『第八路軍従軍記』と井上の和英中辞典もお送りしました。和英、たけのぶのは大きすぎ、井上のは例えば「イタヅラ」という字をローマ字でひくとすぐ「徒に」の「いたづら」が出て来る、ほかのは悪戯(いたづら)が第一に出る、そういうちがい(日本語感のうちの漢文的要素)がありますが、文例ではやはり井上の方がよく選び出して居ります。だから井上にしました。印刷はどうもよくないけれども。
達ちゃんへのものは明日出来上ります。早く送ってやった方がいいと仰云る心持、私の心持として分ります。
五時すぎ林町へ着。(寿江子と)台所のところを改造中で、大工、国男夫婦どたばたやっているところでした。太郎が大きい料理台の上にのっかって歌をうたったり口笛をふいたりしていて。おそい夕飯がすんで、そのうち太
前へ
次へ
全766ページ中90ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング