ます。ゆきちがいに。この手紙(二十七日づけ)は私の返事見てからでしょうか? そうではなさそうでもあります。たまでなくても折々が大変結構です。健康上非常に有効です。精神は休められ新たな活気とよろこびに満たされて血液循環がよくなります。薬味《やくみ》というものは常に少量ですが、絶対に必要です。味覚の発達しているものたちにとっては特に。そうでしょう? 書いていて不図思いついたのですが、二十四日に出した手紙、二十八日に着いたのではなかったでしょうか。もしそうだったら、電報をうって下すったことについて何かお礼を云いたい気がするけれども。
 さて、交響楽的生活の美しさ、豊富さ、消えぬ輝きについて。そこには全く、最も充実した、精神の力づよい生きものとしての人間の自然さが荘厳な天真爛漫のうちに開花されていると感じます。その美しさ、微妙さで感動から胸をしめられ涙を流すときもあり、全身をもって呼ぶことがあるが、本来の透明さ、よろこびに曇りはなく、涙そのものにしろ、たっぷりと暖い雨の奇麗さをもっています。それも一つの交響楽的※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]リエーションです。
 あなたが、不合理に体をわ
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