るが、おなかの中はちっとも痛くないので不思議な位です。本当に今年はいいだろうと楽しみです。腹の中から不断に毒素を発していたものがないというのはきっと大したちがいだろうと思われます。今のところまだそれほどにもないが。傷のあとなど劬っているから。傷そのものは小さい七八分のすこし赤みがかっている十字で、この頃は肉が凹んでいたのも殆どなおり、仰向にねたり、おふろに入っているときなどすっかりすべすべと平らになりました。傷の上の方に何かまだしこりがあって、それを全くちらしたら完成です。
きのうは電報ですこしおどろきました。記録料など出来上れば当然こちらへ請求するものだからそちらへ請求するわけないのに、どうしたことかと思ってすぐ電話かけてきいて見たらば、旅行中でわかりません。今日かえる由。そちらへ求めて来たのではないでしょう? 出来上れば勿論すぐ支払います。ただ、出来たらすぐ支払えとおっしゃるわけだったの? それなら電報はおうちにならなかったでしょうね、よくわからない。今夜でも又電話して見ましょう。
二十三日は本当にありがとう。二十五日につきました。返事もう今ごろ見ていらっしゃるのでしょうと思い
前へ
次へ
全766ページ中72ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング