活動的で、収穫も少くありません。だから燈なんかいらないの。消燈したって心の中はときによっては光彩陸離の有様です。そういう動的状態でないときは、父の二代目で、ベッドへ入る、スタンドを消す、もうあとは前後不覚。いずれにせよ十時消燈という原則は守りますし守っても居ります。どうか御安心下さい。ほかの連中にかかわりなく、やって居りますから。
いつぞやの連作手紙についての批評ありがとう。芸術家が、もし真の現実と人間生活の諸関係、価値の比をとらえたいと希うなら、規模が大であればあるほど無私でなければならないということが、益※[#二の字点、1−2−22]痛切にわかって来ます。条件的な進歩性ということもよくわかる。これらの大切な諸点については、この間うちの手紙にもかいたように、つづいた病気が微妙に内的にも作用して、心理的に変化したところがあります。ただ、こういう肉体の事情の下で或時期――恢復期の敏感さ、感受性のするどさという感性的なものではなしに。歴史的正負を正しく設定するということは、核の核と思えます。それが出来る能力があれば、すべての小主観性やその日暮しの中での世俗的目安の腰据えなどけし飛んでしま
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