ー、ドイツを旅行に出かける由。ドイツの本当の心にふれて来るそうです。
一時長篇が流行しはじめて、忽ちある方向へ流されて行ってしまって今日に及んでいるので、本年は、純文学の甦生は第二義的野心作を並べる長篇よりも、寧ろ地味にフリーランサーとして書かれる短篇のうちにその可能がふくまれていると考えられて来ているらしい様子です。有馬農相の写真をつけた農民文学叢書も、今度は急に表紙を代えなくてはならなくて大変でしょう。
林町では太郎かぜ引。咲枝がすこし体の調子が変と云って居りますが、これは或はやがてお目出度になるかもしれず、まだはっきりしないらしいが。
あなたからの私の世話をしてくれる皆によろしくをよくつたえたので、お手紙が来ると、冗談に、よろしくがあるかしらなどと云って渡してくれます。あなたはここでも、廊下を歩いたりいろいろしていらっしゃるわけです。
和英の辞典はコンサイズよりもすこし大きくて目のつかれないひきいいのが林町にあったから、それと同じのを入れましょう。新法学全集は文楽堂に云いつけます。お金もうおありになりますまい。一二日中に送ります。ではこれで病院での手紙はおしまい。私が、黄
前へ
次へ
全766ページ中30ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング