が、そのお供えの、丁度おなかのでっぱりのところに、小さい絆創膏を十文字に貼りつけました。上出来の傷のお祝に。そしたら、お供えは俄然生色を帯びて、まるで生きもののように表情的になって、うれしいようなきまりわるいような様子をして、お盆の上にのって居ります。こんなところらしい冗談があるものね、感心しました。
先生たちは元旦でも出て来て、明日入浴してよいということになりました。初めて普通の御飯をおひるにたべて、実に外科の仕事は、バイキンさえ入らず、体質異状がないと早いものですね。
あなたの名、私の名、新しい筆で大晦日の夜お祝箸の袋の上にかいて、先ずあなたのから食べ初《ぞ》めいたしました。ちょうど十九日に自分で買って来てありました。島田の方でもこういうのを使うでしょうか。[#図1、祝い箸の絵]模様は羽根に手まりに梅の花。金色と赤の水引の色。模様が大変女の子らしいので、あなたのお名前は何だかいかにも、マアお正月だから仲間に入って遊んでやろうというようです。
明日壺井さん夫妻が見えるそうです。そして四日には繁治さんが久しぶりでそちらにゆく由です。
目白はおひささんが二十六日にかえりました。二
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