十八日までという約束で行ったのですが、急なことだし、他のことともちがうので速達出してかえって来て貰いました。寿江子がとまっています。但三ヵ日の間は寿江子林町でワアワア云いたいらしいので、本間さんのチャコちゃんと云う女の子、高等科二年、をたのんで滞在して貰う手筈にきめました。自分は閑散な正月であるわけですがはたの連中に何とか正月らしくしてやるために、やはりそれぞれ心くばりがあるものです。
手塚さんのところ二十八日だったか女の赤ちゃんが生れました。八百匁以上でよかったが、生れるとき赤坊が廻転して出て来るとき自然にへその緒が解ける方向にまわるべきところ、逆回転だったのでカン子《し》(頭にかけて赤ちゃんをひき出す道具)をつかって仮死で出た由。人工呼吸でそれでも母子ともにもう安全だそうです。なかなか危険なところでした。赤ちゃんの喉がへその緒で次第次第にしまることになるのですから、逆まわりになると。てっちゃん、びっくりしたし、うれしいし、様々なのだろうのにキョトンとして、ホーと云っているには大笑いでした。名はやす子とする由。妻君の母上の名の由。なかなかいいお婆ちゃんで、てっちゃん好きなのですって
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