の芽がふくらんで来たそうです。正月九日迄大同で十日から動き出し、内蒙、黄河畔、陜西省境をまわって七日に一ヵ月ぶりで帰り、当分休養の由です。丁度そこへ手紙や荷物がつくことになればようございました。隆ちゃんはあっちへ度々たよりをよこすそうです。そして軍隊の空気にもなれたので楽になったと安心するよう云ってよこすよし。風邪一つけが一つとしなかったと書いてあります。
咲枝の兄の俊夫が(明治生命につとめている)一年半ぶりでこの間無事にかえりました。そして社報に日記抄を出しています。ずっと日記をつけたらしい。日ごろ妹たちにも大人並には思えないような風に見られていたのに。主観は単純であるが、こまかに様々の様子をかいていて、文章は独特に新鮮で、誇張、修飾を知らない味にあふれて居ます。水上瀧太郎にほめられたと云って大よろこびの由。阿部章蔵はあすこの親分です。文章をかくのが面白くなって来ているそうです。このひとは子供の時代の病気のため不幸な生理事情があって、家庭生活もこれまでは悲惨めいていましたが、その妻になっている人は(初め経済的条件だけ目あてだったのが)今度はしんから心配したし、そういう点も何か変化を
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