って(!)大笑いをしてしまった。お役所につとめていて、記者になったひとの由でした。
四時すぎごろ重いブックエンドもって栄さんのところへゆき、つれ立っておっかさん[自注3]のところへ出かけました。偶然半丁ほどのところへ越して来ていたのでびっくりしました。六畳の部屋をかりて壁に服をかけ、隅に譜面台などあり。清潔に小じんまりしている。そこへお母さんが相変らずの小づくりながら、つやのいい元気な姿で坐っていて、てっちゃんもいました。マア雨が降るのによう来て下さいました。そして、息子の三年目の洗濯ものを来た日に親類へ皆負って行ってすっかり洗ってやり、次の日二人で家さがしをしてここを見つけた由。来るとき、秋田のどことかとどことかとへよって九日間の切符ギリギリについたとか、汽車の食堂でパンをたべる話そして何里も来る間ゆっくら休んでいる話。三人で、あっちのバター、燻製の鮭、美味いつけものなど御馳走になりました。花をもって行ったのを写真の横に飾り、おじぎをしたら、おっかさんの実に気持のいい生活の気分と一緒に、涙が出るようでした。本当に生活のひとふしずつを愛してたのしんで、丈夫でよく働いて、つけものの話や
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