ることについて。どうして、どうしても[#「どうしても」に傍点]なのか納得ゆかないと仰云った。いつも決して[#「決して」に傍点]ゆかないのとはちがうのよ。どうしてもという表現は、あらゆる努力にかかわらず、ではなくて、何と云っても、或はやむを得ず、そういう範囲での内容です。私のいろいろのことに対する要求のお気持から、どうして、どうしてもなのかと仰云るのは分るが、そういうものからすこし間隔をおいて、毎日の暮しの中にはいりこんで来るあれこれ、子供や全くの病人ではない生活のあれこれというものの実際の面から御覧になれば、とりあげて一々の例を並べ立てるまでもないこととしてわかっていらっしゃるのです。そう思うわ。その日の風まかせにフラフラ暮していて、問いつめられると、窮してどうしてもねなどというわけではないのだから。私は自分の生活ぶりの全面的感銘からあなたに一日も早くそういう点に到るまでの心づかいを、注意を不要と感じさせたいと思います。
 一日の割当ては、大体午前中に面会と、その他の用事をすませ、午後から夜勉強の時間に当ててゆくつもりです。ものを書くことで面会を休んだりはしないでやってゆく決心です。二
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