さが欠くべからざるものであるのもわかる。「雑沓」が真に描かれるにはこの一点が何か真髄的に重大なものであった。そういうものがそれだけ重大だと分ったのが、昨年夏以後の苦しさのおかげであるというところに、又見のがせない意味があるわけです。
表のこときょうはサボタージュしたねと云われてしまいましたが、十七日にはじめてそちらへ行ったとき、もういいでしょうというようなことを云っていて、それから又あとに、熱は十日まででよいがと云われ、じゃ二月一日からちゃんとつけて、というようなことだったと思います。あなたがああいう目をなさると、駄目よ。私はとたんに叱られる子供にかえったような工合になって、困った気ばかりするから。あなたが、ちゃんとしない、そのことの奥にあることへの気持で仰云るのは判るのですが。ああいう目にいきなり息をつめてしまうのだって、やっぱり私の負性の一つかとも思ってしまいます(半分本気。半分冗談)でも、勿論これは、あなたが私に向ってはどんな顔をなすったって、目をなすったって、いずれもよし、という土台に立ってのことですから、どうぞそのおつもりで。私も段々えらくなってたった一遍でもいいからああい
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