がそれでも私は意味は分らなかった。ずっとあとになってわかって、さてその絨毯をひろげて、うれしさが急にあふれた如くでした。お金は三十三円ぐらいで、そのうちで今絨毯を見つけようというのだから重治さんも大分苦心した模様です。ついに三越で見つけた由。掘り出しものです。そういえば、いつか家具部を歩いていたとき目にとまった色の調子だがねだんを見ようともしなかったものです。日本の家とよくつり合う、東洋風のうす茶、碧、黄、白の配色で本当にきれいです。三畳ぐらいの大さ。寿江子がスケッチ、エハガキにしてくれます。本当にうれしいわね。でもどこに敷きましょう。二階は椅子とベッドで畳はやっと一畳ぶん空いているきり。茶の間はおひささんが火をこぼし水をこぼす可能があるから惜しい。結局四畳半でしょうか。もし新しく家が見つかって、そこに八畳の室があって、勉強机とベッドとの間にそれをのばして、その上にねころがったり出来たら本当にうれしいこと。私たちはよく毛布を畳んでカーペットをこしらえましたね。そしてその真中に机をおいて。この絨毯の上には、あのお婆さんのくれた卓をおくとすっかり調和します。ふかふかとしたところに坐布団をお
前へ 次へ
全766ページ中110ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング