@前便のタテの封筒がいかにもいや。東京堂と丸善とへ出かけるから、そこで何か見つけて、それから出すことにします。
[#ここで字下げ終わり]
九月十九日朝 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
九月十八日 第五十四信。
〔前略〕昨日あれから戸塚へまわりました。おなかペコペコで御飯をたべ、終ったら鶴さんがやって来て、やはり御飯をたべ、そちらの噂やいろんな話。『朝日』朝刊に石坂洋次郎が長篇をかくことになって四五日前作者の言葉なども公表された。そしたら、けさ突然、坪田譲治「家に子供あり」というのに変更されている。何かあった。「若い人」がいけないということになったのだろう。この間内務省の懇談会で、またたびもの、遊蕩《ゆうとう》もの、女の生活の放縦を描いたもの(女子学生もこめて)はいけないというおふれが出たばかりです。
出かけようというとき鶴さん一寸一緒に新宿へ出ようと云い、私はおみやげのバタ、稲ちゃんは不二《ふじ》やでお菓子を買い、不二《ふじ》やでコーヒーをのむのに(鶴さん)つき合って、それから市ヶ谷へ行ったら六時ごろです。
病人さん[自注13]は、けさあなたから親切な手紙を貰っ
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