テけられない。どうして、そしてどの範囲で英語新聞の編輯などやれたのかと、計らざる感服をしました。
第一書房からバックをうけて、あの売行を保とうとして出されたミッチェル女史の『風と共に去りぬ』Gone with the Wind。『タイムズ』の文芸附録に、本やが Going, Going! と増版を広告していますが、日本ではそれ程の売ゆきを示さず。(三冊で略六円になる本)これは面白いと思う。第一、南北戦争というものは日本の文化にヨーロッパ程感情のつながりを持っていない。第二に、現今ヨーロッパの文学は、大戦以来引つづいてジョイスの「ユリシーズ」風、ハックスレイの「双曲線」風の心理分析、潜在意識分析文学の時代から一歩動いて来て、一方ではロマンスの大復活流行、一方に新たなリアリズムへの努力が擡頭している。これは、昨今の世の中から実にわかりますね。ロマンスが特に歴史的背景をもつものに傾いているということもわかる。「風と共に」は前者の風潮にのっているものです。だからあっちで売れる。『タイムズ』の推セン書の中に今週文学ではロマンスが(名は忘れた)あり、次の週は一匹一片の男(?)と云うようなリアリス
前へ
次へ
全473ページ中237ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング