アのことです)いい気になっていると云われて、成程ね、とそれが肯ける程、謂わば簡単明瞭な自惚れや、いい気になり得る諸条件があるなら、却ってその害悪も浅いようなものでしょう。生活の諸条件は、主観的にも客観的にも我ながらいい[#「いい」に傍点]ようなところはない。自分の気で精一杯努力しているつもりでいる。それで、一度頓悟して見れば、ふっとぶ庇があったというのは、どういうことでしょうか。私はその点をこの間うちからずっとずっと考えつづけた。そして、もしこの点に鼻をこすりつけるようにされる機会がなかったらどうだったろうと考えて、甚しい恐怖を感じた次第です。私は一応、世間の目やすで見て(文学上も)仕事の質量・日常生活、指をささせぬ生活で張りとおして来ている。努力をおしまない、という自覚がある。決してひっこまないぞという自覚がある。漱石流にこの心理を図解すると、つまり遠心的傾向[#図4、「心」に丸囲みの手書き文字。そこから斜め外向きに四つの矢印がのびている]こういう工合だったと思う。そういうものの一形態として内省も行われ得ます。ここから、私の云う庇というか、張り出しがいつの間にかついて来ると或は来たと
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