セけの生々しさで(現実性で)再び浮んで来て、頭で、そういうことになると、わかったという領域から、今更ながらそれが見えていやだという感情にまで進みました。
 この庇のふっとんだ感じは、私の生涯にとって、真に大切なことであったと思う。こういう、身にこたえた教訓、思い知らされた思いは、これまでに一度あります、或る春。愛情というものの確的な質と行為の本質を見失うと、死んでも死に切れぬ目に会うということを知らされた経験。これは生涯の教訓となっている。私の一生にとっては一夜のうちに死し、而して辛うじて甦ったような経験でした。質は違うが、今度私が感じた庇のふっとんだ感じは、今の段階の私にとって、やはりこれからの何年間、或は全将来への警告となったものです。
 あなたは、いい気になることの危さとしてそれを云っていらっしゃる。いい気になっている、と云われたとしたら、きっと私は熱心に、いや、そうだとは思われない、どうしてそういい気になんかなっていられるか、と云うに違いない。(これまで何通かの手紙は、きっと貴方に、八分は腹に入るが、二分がどうもひっかかっている感じであったろうと思います。二分のひっかかりが、こ
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