すが。――
ずっと運動にはお出られになりますか? 入浴は? 今年は冬が大体暖く、春がもう来たようです。寿江子が鵠沼から来ると大抵私の方にいる。今も居ります。段々私の生活ぶりもわかって来て、ちょいちょいしたことでは手助けをするつもりで居ります。実際にどの位出来るかということは、おのずから別ですが。二月、三月(四月も)と『文芸春秋』に時評をかき、杉山平助氏から近頃の正論をはく批評家というようなことをきわめつけられ、ホーホーと我ながら批評家ということばに笑います。六芸社の本は序も簡単にしかしよくかけた方だし、好評です、全体としてそうなのは勿論当然であるが。ああいうものが売れる、それは実に興味ある現実です。私の楽天性の根拠いかに堅くリアルであるかと、努力を鼓舞されます。この前の手紙で書いたおくりもの第三についての私の心持はおわかりになっていただけたかしら。議論めかしくて可笑しいやですが、書くとやっぱりあのようにしか書きようがない。そして、私は心でひとりで思っているの、貴方は、御自分が本当に安心して大らかな心持でいらっしゃれるのは、ああいう風なところが私にあって初めて可能なのだがナ、と。己惚《
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