やむを得ぬ仕事を一応かたづけ、それから島田へ御見舞に行くつもりです。それより早くは仕事の都合上絶対に無理なので、幸《さいわい》御様子も落付いているし、それまで私は大車輪に働いて出かけます。どの位あちらにいるか、それは御様子を見なければ申せず、私はお母様のお邪魔にさえならなければ、少し長くあちらにいようかとも考えて居ります。私は島田で、お客でなくなりたいから。こちらの家の留守番を見つけ、予定を別に立てずあちらへ行って見て、きめようと思います。ただ、あなたも御存知のとおりお店だから生活の様子がああいう調子の中で、私が落付いてまとまった仕事をすることはどっちかと云えば困難でしょう。そういう無理で、空気をこわしたくもないから、その点では半月ぐらいの期間を考えても居ります。
いずれにせよ、私は出来るだけのことをいたしますからどうか御安心下さい。あなたがおやりになるだろうと思うことは皆やりましょう。そういう心付で、私は決して、あなたが残念であったとお思いになるようなことはしません。どうか深く私を信じて安心しておまかせ下さい。この手紙は十日も経って御覧になるのですね、その前に私はお目にかかるわけで
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