とか女のようではないとか云うが、実際今の世の中で、女は男なみ以上働かされている。それでとる金は半分です。キリキリ女をしぼっている。それでしっかりして来なければその方がどうかしている。あなた方だって、自分の体が満足なら細君を所謂女らしく封じて置けるだろうが一朝永患いをして金がないとなったら、警視庁が五年十年と養ってはくれないでしょう。細君がやっぱり何とか稼がなければならない。そうなったとき時間が永すぎるとか、賃銀がやすすぎるとか云った時、あなた方は決して何だ女らしくない! と細君をどやしはしないのだ」
「……ふむ。……だが、これはどういうことになるかね」
指で示すのを見ると、やはり同じ投書欄で、愛子という人の投書に、何事も〔三字伏字〕のお為だ云々というところの三字がある。
「…………」
「いいですか? 一ヵ所じゃないですよ。こっちにもある。……こオっと……これ、これはどう云うんです」
敏子という名で、戦争反対をハッキリのべている文章なのだが、ここでは〔三字伏字〕は御自分の赤子《せきし》が殺されるのを云々という文句がある。自分は、どっちも読み直し、文章そのものに何の咎めるべきところはな
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