と私の考えが一致するとは今から云えないことです」
「いや、分りました」
編輯部の顔ぶれ、書記局との関係などを訊いた。
「なるほど……赤坊の手を捩《ねじ》るようなものだから放っておいたんだが、この頃メキメキ高度になって来たじゃないですか、え? こんなに高度になっては放っても置けない、え? そうでしょう?」
四月号の時評だの、投書だののあっちこっちに赤線が引っぱってある。四月の時評は「戦争と私達の生計《くらし》」を中心として、去年秋満州掠奪戦争がはじまってからの「死傷者の数」「軍費」その他中華ソヴェト、ソヴェト同盟の第二次五ヵ年計画の紹介などが書かれていたのである。
「先月号あたりっから、まるで男の雑誌とかわりないようんなった……」
パラパラ頁をめくった。すると主任が、
「一寸……」
と手をさし出し、「働く婦人」四月号の赤線のところだけをよって貪るように目を通した。酸っぱいような口つきをし、
「…………」
スリッパを穿いた膝がしらをすぼめて雑誌をかえした。清水は、放っておいたと云うが、「働く婦人」は一月創刊号から毎月発禁つづきである。しかも三月八日に築地小劇場で日本プロレタリア文化
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