びて行くから、実際生活にすぐ役立つ勉強法だ。子供の頭は、すぐ手元の日常生活を基礎にそれを解剖し、批判し、新しく、綜合して建設してゆくすばらしい力を与えられる。それこそ、プロレタリア的な知慧=無駄のない理論的であるとともに実践的な同時にびっくりするほど国際的な活々した知識をもつようになる。
折角もって生れた才能を押しつぶしたり、歪めたりするような不経済を社会主義社会の教育は決してしない。アメリカのダルトン・プランと云うブルジョア社会の個人主義的な自由競争における天才[#「天才」に傍点]製造はやらない。一人の英雄だけをこね上げるに熱中する教育法ではない。然し、すべて人民の子供が個人の独特な才能を、社会全体の建設の中へ役立てて行くような育てかたは実に成功的にされている。
例えば或る工場見学に小学校生徒の一級が出かけたとする。その記録をこしらえようとする。一級が一冊の「××工場見学の印象」というものを制作するのに、教師は決して誰それサン、作文を書きなさいとは命じない。めいめいが相談しあって、自分の一番得手な、やりたい技術でその仕事に参加する。或る子は一生懸命スターリンの論文をひっぱって論文
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