五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)洒落《しゃれ》
|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)学校、|革命の家《コンムーナ》
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(例)[#ここから2字下げ]
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一九三〇年の夏のことだ。
ソヴェト同盟では、世界のブルジョア学者、政治家が口を揃えて嘲弄した生産拡張の五ヵ年計画をあらゆる革命的勤労者の支持と、偉大な努力とで、第二年目を終ろうとしている。ソヴェト全土に燃えるような飛躍と建設が響き渡っている。
わたしは、その夏、ウクライナの大国営農場「ギガント」を見学に行った。鉄道の沿線からはじまって、目もはるかな大農場は麦の波だ。そこを、ゆるゆる地平線に向って滑走中の飛行機のようなコンバイン(苅入機)が進行している。
古貨車を利用してこしらえた農業労働者のキャンプのわきには、炊事車が湯気を立てている最中だ。
婦人労働者の派手な桃色のスカートが、炎天のキャンプの入口にヒラヒラしている。彼女は日やけした小手をかざして、眩しい耕地の果
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