ルジョア教育家たちは、プロレタリア革命というものの真実を理解しない。所謂「個性」の華々しい発展は社会主義共和国の教育で大虐待をうけるだろうと予想した。個人の才能、傾向、性格、そんなものは蹴散らされ、たった一つの鋳型=共産主義教育にうちぬかれた機械人形のような子供らが出来るのだろうと思っていた。
ところが、一年一年経つうちに、皮肉で批評的なブルジョア国の観察者たちも段々感心しはじめて来た。現在では、帝政ロシアをソヴェト同盟にしたプロレタリア革命や社会主義的な生産関係や、つまり新しくて人間らしい教育制度のしかれる階級的な土台であるいろいろの条件については依然として反動的な批評をするものでも、ソヴェト同盟の子供の教育方法は参考にすべきだと云うようになって来た。
成程、ソヴェト同盟はプロレタリア独裁の国だ。社会的生産に関与する社会労働が基礎になっているから、小学校にしろ、ただ小学校とは云わず単一勤労学校と云う名称だ。
子供は小さいときから社会的勤労・生産・社会主義の建設とはっきり結びついた教育法にのっとって育てられて行く。例えば第一学期は「春[#「春」はゴシック体]」と云うコンプレックス
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