三二〇千〇〇〇
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帝政ロシアでは最もひどくやっつけられていたロシア内の各少数民族と農民が、今日は解放され、こんな多種の新聞をもっているのだ。
ところで、ここに問題がある。ソヴェト同盟の勤労者は、こんなに夥しい本、雑誌、新聞を、どうして読むのか? 一々買うのだろうか? 勿論買いもするが、ソヴェト同盟では図書館がすごい勢で拡大されつつある。
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「赤い隅」と図書館
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どの工場でも、食堂の一隅に「赤い隅」――小図書館の設備のないところはない。農場だって、ホテルのボーイ溜りにだってこれはある。労働者クラブの図書館。農民の家の図書館。夏休み、勤労者が一ヵ月の有給休暇で「休みの家」へ行く時には、その附近に大抵図書館の出張所が出来る。
現にわたしがレーニングラード附近に一夏暮した時のことだ。昔の離宮が今は勤労者のための愉快な公園博物館として開放されている。景色のいい池の辺にある一つの旧宮廷用の小建物が図書館出張所になっていた。労働組合員は、身分証明の手帖で、ごくやすい保証金(五十カペイキ――二ルーブリ)をおさめ、自
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