同盟を守れ!
 銀行のベンチから見える赤いプラカートの上に。ワロフスキー通りの作家クラブのひろい階段の上に同じポスターがあった。
『プラウダ』や『イズヴェスチア』は勿論であった。『労働者新聞』にもピオニェールのための『ピオニェールスカヤ・プラウダ』にも、この反ソヴェト・カンパニアに対する批判がのった。プロレタリア詩人たちは、種々様々な詩で。作家たちは諷刺的短篇や論文でソヴェトの守りのために動員された。
 文学新聞が、多勢のソヴェト作家にあてて、反ソヴェト・カンパニアに対する感想を求めた時、みんなは殆んど異口同音に答えた。
「われわれは今ペンをとって、世界のプロレタリア文学建設のために闘っている。だが、若し必要な時が来れば、階級のために、いつでもこのペンを銃と持ちかえよう!」
 一九三〇年三月二十四日、七十五万人の勤労者がモスクワでローマ旧教運動反対デモをやった。プロレタリア作家もこの示威に参加し、作家クラブではこの問題についての特別講演会が持たれた。プロレタリア作家たちは、この問題を段々科学的に考えはじめた。
 プロレタリア作家は階級文化の前衛としてもとより、いざという時はペンを銃と持
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