ちかえることを拒みはしないであろう。
彼等はペンの間に鋤やトラクターのハンドルを、電気モータアのスウイッチを把った。一九一七年――二一年の間に、銃をとってソヴェト権力を守ったその階級的経験から作家となった人々が沢山いるのだ。けれども、プロレタリア作家の階級的任務というものは、工場からの労働者、農村からの農業労働者と全く同じように、ただ赤軍に投じ、いろいろな軍事教育を受けるだけで満されるものであろうか?
プロレタリア作家はただペンを銃ともちかえるのではなくて、あるとき銃をもつにしても、それとともにあくまでペンを手ばなさないところに独特な役割があるのである。
階級闘争としての戦争=帝国主義の侵略に対して、社会主義を防衛する戦争においては、軍事司令部だけが働くのではない。党の政治部は、例えば、「チャパーエフ」(日本訳、赤色親衛隊)を読んでもよくわかるように、闘争の重大な理論的指導の任務を帯びる。
ソヴェトのプロレタリア作家は、自然発生的な階級的情熱で剣を執り、自然発生的な感銘で塹壕の記録をとるだけでは足りない。赤軍の活動についても、プロレタリア作家は政治的に、文化的に、独自の分担を理
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