義国の一九二九年来の経済恐慌とは反対に、ジリジリジリジリせりあがりつつある。
右からは二千五百万人の失業者を含む勤労階級の攻勢に押され、左に彼等の敵として聳えるソヴェト同盟に圧され各国のブルジョア支配者たちは、死物狂いになって来た。
中国をケシかけ、ポーランドを操るだけでは我慢出来なくなった列国は、一九三〇年の初めローマ法王を先頭にして、反ソヴェト十字軍を起してドッと攻めかけようとした。その口実はこうだった。「ソヴェト同盟で宗教の自由が奪われているのは人類の正義にそむく、ボルシェヴィキの手から哀れなソヴェトの人民を解放してやらなければならない」と。
この噂が伝わったとき、ソヴェト同盟の勤労大衆はみんな思わず笑った。資本主義国の支配者たちが俺達をどう解放しようと云うのか? もしほんとにソヴェトの人民を解放しようとするなら、先ず何よりいま自分たちがやっている反ソ・カンパニアをやめさえすればいいんだ。が、段々笑いごとではなくなって来た。
雪のあるモスクワの辻々に大砲を指揮する法王の絵入りポスターが貼られた。
ソヴェト同盟を守れ!
同じポスターは、映画館の壁の上にある。
ソヴェト
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