来ねえ。思って見な。『ブルスキー』へはやっと前の年からトラクターが動き出した。すると忽ち女連が肥って、脂がのりはじめた……きまりきってるサ、嘘だ! 俺達はあらかた九年コンムーナで暮してる。それでも女連の中で一人だってまだ肥えた者なんぞいねえヨ。それどころかコンムーナへ新規に入って来る者なんぞは一月に二三キロも目方が減るぐれえなもんだ。これでよく分る、『ブルスキー』へどんな連中がより集まったか。懶《なま》けもんだ! 天からマンナ[#「マンナ」に傍点]が降るのを待ってるみてえだ。ブルスキーの連中は自分で云っている。トラクターで楽しようって。馬鹿のより合いだ。共同耕作の暮しなんて……信じられねえ。
自分のところの例で見てもよ、俺達んところにも共有地のことでごたごたがあったが、ああいうもんじゃなかった。成程、揉めた。ポリトフがやって来て地方委員会書記なんぞぬきに、皆をドナリつけた。誰も彼もコンムーナへ地面をだすことに同意した。みんな沸き立って喋ったけんど擲り合なんぞはなかったんだ」
革命までブリーノフは上ルジェンスキー村の中農で村では口ききだった。ヨーロッパ大戦当時は、運転手をつとめた。コ
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