典の代表作と現代の主なものは知っているという結果になった。そして、いい年をした貧農出の農場員は自分でコンムーナの生活記録を書いて見る気になった。モスクワから五千キロメートルへだたった田舎の片隅で、文化の光がそこまでひろがった。
トポーロフの研究によるとソヴェト農民読者(この場合実際ではききてだが)は、何より先に作品の文章、言葉の面白さを追う。内容はそれから後の問題だ。
そういう意味でコンムーナ員たちが素晴らしい作品だと決定した各国のいろんな作品の中に、ホーマーの「オデッセイ」が入っているのは非常に面白い。ゴーリキーの小説をよんでもわかるようにロシアの農民は昔から、詩の形で書かれた長い物語を口づたえにして誦して来た。その伝統がハッキリここに現われていると思う。
現代のものでは、ニェヴェーロフの「パンの町・タシュケント」、カターエフの「使いこみした男」、ポドヤッチェフの「労働者の中」、セイフリナ「プラボナルーシチェリ」、リベディンスキー「一週間」その他。
詩人ではエセーニン、ウヤートキン、ベズィメンスキー等があげられている。
いくつかの作品に対してされた農民の批評の詳細が実例とし
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