る労働者の心持が次第に農民の感情に近いものとなって来た。
 ソヴェトの土は、初めて、富農のどんよくな手から労働者農民の土地らしい生産的活躍をはじめた。
 党とそれを支持する労働者農民が、五ヵ年計画第一年から農村集団農場化の実践によって経験した国内の反動・右翼日和見との闘争、極左主義、前衛主義の克服等は、光彩ある歴史の中でも、画期的な価うちをもつものであると思う。
 全露農民作家協会の作家たちは、この波瀾に富んだソヴェト農村の数年の生活を、どんな芸術活動に反映させているだろうか?
 ソヴェトにおいて農民作家団は、十月革命から今日までの情勢の具体的基礎の上に立ち、都会のプロレタリアートの生活と農民の生活とは、その具体性において、或る相異をもっているという客観的な理由によって結成されたものであった。
 農業労働のテンポ、そこから来る生活感情そのものが、工場労働者の日常にとけ込んでいるものとは違う。毎日の関心事、その心持がまた違う。例えば、モスクワの金属工場に働く労働者が、飴牛の姙娠と出産とに、どんな熱情をもつことが出来るであろう。
 党も、同伴者《パプツチキ》作家団を認めたと同じ友誼的指導的
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