学活動を行っているとき、あやまられた政治の優位性の理解は、それぞれの場面での指導の官僚化と革命の課題からの逸脱をもたらす。一九四九年において、民主主義文学者の大部分は、自分たちを一つの政治的成長におしあげずにはいられなかった。すなわち、文学における政治の優位性のあやまった発動を克服するためには、作家一人一人が日本の民主革命の課題と諸階級間の関係をはっきりつかんで、その角度からめいめいの創作を発展させ、他の人によって書かれるおびただしい種類の文学作品を評価してゆく能力をもたなければならないという現実を学んだのであった。中華人民共和国の新しい国旗の上に輝く一つの大きい星とそれをかこんで輝く四つの小さな星の美しさをよろこぶばかりではなく、日本のごたごたした社会情勢のうちに、やがて次第に輝きをましてゆくべき一つの星と四つの小さな星との文学をその正当な位地づけで認めることこそ、文学における政治の現実的な優位性であることを学んだのであった。
このような日本の革命の課題に立って民主主義文学運動をみたとき、その小説を労働者が書いたから、革命の主力である労働者階級の文学であると決めることはまちがいであ
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