五〇年代の文学とそこにある問題
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)読《よみ》もの
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)もう|流行はずれ《アウト・オブ・ファッション》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]
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一
十二月号の雑誌や新聞には、例年のしきたりで、いくたりかの作家・評論家によって、それぞれの角度から一九四九年の文壇が語られた。その一年に注目すべき作品を生んだ作家たち、明日に属望される新人も、作品に即してあげられた。
これらのしめくくりは、しかし、去年という三百六十五日の間にわたしたちが生活と文学との肌身へじかにうけて生きて来た激しい暑さ、さむさ、ほこりっぽい複雑さのいろいろを、その深さ、その多面なひろがりそのものにおいて整理したものであると言えたであろうか。少くともわたしは、どこかくさび[#「くさび」に傍点]のぬけた概括が多かったと感じる。そこに
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