の居処を知っているか?」男は、少し妙な眼でスーラーブの顔を見、ざらざらした声で得意げに答えた。
「知っていますどころか。ゆうべわしらの隊で、奴を揶揄《からか》って大笑いしました」
「すぐ此処へつれて来てくれ」スーラーブは、抱えている糧秣に目をとめた。
「いいからそれは置いて行って来い。私が分けてやる」
 男は、そこへ袋を下し、左脚を引ずるようにして陣の後方に去った。スーラーブは、左手で重い袋を引ぱり、樹木の根かたに置いてある箱に、なかの麦粒をしゃくい出した。

        三十五

 間もなく、乾ききった厚い木片がぶつかり合うような、カタカタという音が、スーラーブの背後でした。
「連れて参りました」捕虜の若いイラン人は、微塵《みじん》の愛嬌もない表情で、振返ったスーラーブを見た。纏布を半分ずらせて、頭の負傷を包んでいた。横から、短く髪の毛が延びかかった頭が覗いている様子、薄い、汚れ切った上衣が肩で破れて体にかかっている有様。立派な体格で、足枷さえそんなに惨めなものらしくは見えなかった。眇《すがめ》の男は、捕虜の穢らしい滑稽さを誇張するように、傍から相手の腕をつっつき、片言のイラン訛
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