しいものは見当らないかと尋ねた。彼等は、形式一遍の答えをした。スーラーブが相手の顔をじっと見ずにいられない冷淡さ、底意でもあるらしい無頓着さが顕されたのであった。結局昨日は解らずしまいであった。彼等の腹を考えれば、今再びきいたところで正直に云ってはくれまい。スーラーブは、或る憎悪を感じて、平然と協議を凝している二人のツラン将を視た。彼が、鋭い眼を向けると、腰架に向い合っている彼等は眼の隅でちらりとそれを認め、傍から口を利かせまいため、一層熱心らしく胸をかがめて話しに打ち込む風をする。激しい感情がこみあげて来、スーラーブは、ふいと天幕を出た。
もう朝日も高く昇った。高地の裏から疎らな樹林をとおして射す澄んだ日光で、草の葉の露はかがやき、絶間なく動き廻る兵卒等の腰に短剣のつかがキラキラした。樹木の間につながれて夜を過した馬がつややかな背やたてがみに日を受け、楽しそうに鼻を鳴しながら、古い落葉の敷いた地を掻く。歩き廻っているうちに、スーラーブの頭に閃くように或ることが思い出された。彼は、急に活々した挙止で、丁度糧秣の袋を抱えて来かかった一人の兵卒を呼びとめた。「おい。――貴様、イランの捕虜
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