意を与え、彼は天幕に戻った。天幕の中では、フーマン、バーマンなどが、簡単な朝食を摂りながら頻りに開戦準備の相談をしていた。スーラーブも卓についた。食物をかみながら、彼の心は、重要な二人の相談の方には向かず、やや陰鬱に考え沈んだ。スーラーブは、迷信深い兵卒等のように、ガワが仮にも悪魔に殺されたなどということは思いもしなかった。然し、殺された者がガワであったことが彼に何かの凶兆らしいいやな予感を持たせた。ガワは、もう数年、スーラーブの手廻りに仕えた侍童であった。それが、幸先よかるべき今朝、死んで見出されたとは何事だろう。これは、彼自身の身代りになったという風にとろうとすれば、とれないことはなかった。そう解釈した方がよいのだろう。けれども、スーラーブには、もう一つ昨夜から気になりきっていることがあった。それは、イラン軍に、父ルスタムが加わっているや否やということであった。
 イランの全軍が、広い曠野の面で展開し、彼方此方に、天幕小屋を組立てて行く間、スーラーブは、幾度と知れずアフラシャブの附け人達を高地の端まで連れ出した。一つ新しい天幕が張られるごとに、ルスタムではないか、或はルスタムの隊ら
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