についている短剣が鞘ばかりになっているのを見出した。
 彼は、兵等に命じて剣を探させた。剣は、血の曇もつかず、ガワの頭の方に落ちていた。それと一緒に、図らず一本の棍棒を草の間から拾いあげた。それが、ツランの物でないのが一目でわかった。握りに滑らないための刻がついてい、堅いつるつるした木の根っこのようなもので出来ている。それを見ると、兵等は俄に陽気に噪ぎ出した。そして、スーラーブが検べ終ると、我勝ちに受取っては珍らしそうに吟味した。或る者は片手に下げて、仔細らしく重みをはかった。剽軽《ひょうきん》な髭面男は、嬉しそうに、仲間をそれで脅しながら「ツランの小人、覚悟しろ! とは云わなかったとさ!」とふざけた。皆はどっと笑った。彼等は黙って懼れた悪魔の仕業でないことが確かになった。ガワは可哀そうだ。が、何! イランなら思い知れ、讐《かたき》はすぐ打ってやるという気持が、一同に流れ出したのであった。

        三十四

 スーラーブは、はっきりその雰囲気を感じた。彼は、一同を鼓舞するために、勇ましい言葉で、ガワの命を来るべき今日の合戦に償うことを誓った。そして、埋葬に関して必要な二三の注
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